09年6月19日 | 動かせないモノなんて何も無い! 「曳家」完全中継 in 阿佐ヶ谷神明宮 | ||||||||||||
ゲスト:ガダルカナル・タカ(司会)、山田太一、恩田忠彌(解説)、齋藤博明、勝田和宏(実況)、恩田組職人6名 | |||||||||||||
区画整理などに伴い、建物を壊すことなくそのまま移動させる作業、曳家。このたび、阿佐ヶ谷神明宮の本殿を動かすことになり、その現場に潜入。山田は一度実家の工事で大規模な曳家を体験したそうだが、普通はめったに見ることのできない曳家工事の全てを体感する。 まずは恩田から曳家の概要を聞く。恩田が会長を務める恩田組が今まで手掛けたのは明治学院記念館、泉岳寺山門、JVで首相官邸などなど、錚々たるもの。最近は基礎ごと移動させる(何も壊さずに曳く)のが主流らしい。そして、コンクリート基礎より木造建築の方が難しいとのこと。曳家は一度基礎から上げて、その下にコンクリート盤を作り、盤の上にレールを敷くという作業が必要で、実際に見る現場写真は鮮やかなもの。電気系統などもそのまま、生活しながら・使用しながらの曳家も可能(退去が大変なので)なのだとか。土地の規模や形状によっては回転させることも可能だし、高度を下げることも可能。費用は新築の1/2から1/3ということで建て直すよりもお得な曳家。曳けないものはないであろう、と揺るぎない自信も示した。 今回曳家工事をすることになったのは、宮司の齋藤によれば、本殿と拝殿と神門を後方にずらすための背面の土地が購入できたから、ということらしい。特に本殿と拝殿は今まで接触していたが、本殿が神明造になっており、その形をしっかりと見せるために離したい、ということも大きかったようだ。また、御神体は普段は本殿に納められているが、今回の移動に伴い、先に完成した御祈祷殿に仮に移されているとのこと。ただ、先々代が鍵をなくしてしまい、齋藤自身は御神体を見たことがないようだが…。 さて、現場は既に足場が組まれ、レールも引かれている状態。今回のコースは約20トンの本殿を約30メートル動かすもの。向きを若干変えるため、緩いカーブも含まれている。これを約2時間かけて完了させる。スタートさせる前に、現場をチェック。工具好きのタモリはラチェットにすら反応。曳家のメインとなる油圧ジャッキにも当然反応した。また、台車に用いる自在コロは恩田の発明品。特許はすでに切れているそうだが、かなり儲けた模様。 準備も整ったところで、静かに台車が動き出した。油圧ジャッキは1ストローク50cmで、動かしたら入れ替え、を繰り返す。山田が曳いてもらった時に聴いた曳舞を恩田に唄ってもらいつつ、本殿は順調に進んでゆく。途中では職人の紹介も。親方クラス総出のラインナップで、曳家歴はいずれも20年近くになるようだ。また、曳家を終えると宴会、ということが多いためか、酒好きの職人が多いようだ。ゴールが近づくと恩田の計らいで作業を間近で見学した。さらにタモリのわがままが通り、油圧ジャッキを動かす体験もさせてもらった。嬉しそう。そうこうしているうちに終点に到達。曳きの作業が完了した。最後にはハイライトとして全移動を早回しで流して終了。神明宮は10月完成予定だそうだ。 曳家って全然知らなかったが、こんな技術があるんだなあと素直に感心。恩田の淡々としたキャラも良く、力はないし酒も呑めないけどこういう職場なら働いてもいいなあと思わせるものがあった。曳くよりも、どうやって基礎ごと持ち上げるのかが見たかった(今回の正殿にしてもどうやって持ち上げるのか想像がつかない)が、それをやると壮大なドキュメンタリーになってしまうので仕方ないか。ここまで準備ができていればそんなに危険はないようにも思えるが、一同が被っているヘルメットが番組メットではなく恩田組のものであるあたり、実は今までで一番危険な企画だったのかもしれない(数の都合の可能性もあるが)。久々の出演で気合を入れて勉強してきた山田が立派。目立たないながらも一瞬だけ存在感を示しつつ、つい現場に近づいてしまうタモリに注意を喚起する地味な働きもこなしており、こういう人材は貴重なのでは。なんでプロダクションは売り出さないのだろう。裏方肌だからだろうか。 空耳アワーの結果 安斎、部屋のレイアウト変更のためレコード棚を一晩で曳いて見事に成功したが、明け方に大惨事が起こったのだとか。
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